情熱の渋谷「あわれ彼女は娼婦」7/28ソワレ

梅雨明けの兆しが見えたかのようなこの日、ちんたら歩く若者を掻き分け行って来ました!

Bunkamuraシアターコクーン「あわれ彼女は娼婦」

衝撃的なおかつ扇情的なタイトルとチラシ。
そして豪華キャスト!
激戦を征し、行った訳ですよ。(Bunkamuraの特集ページは→こちら←
さすがに前売り完売の公演。うっかり開演1時間も前に着いちゃったおいらの目に飛び込んできたのは、当日券に並ぶ人の列!
買えなかった人も居たらしいくらい多かったです。

さて。本題です。
先に結論から申し上げておきます。

救いのない話だ~~~~~っ!

少なくともおいらの目にはそう映りました。そして、ジェノサイドです。
*キャスト*
 三上博史:ジョヴァンニ(フローリオの息子) 深津絵里:アナベラ(フローリオの娘)
 谷原章介:ソランゾ(貴族) 石田太郎:ヴァスケス(ソランゾの召使)
 立石凉子:ヒポリタ(リチャーデッドの妻) 梅沢昌代:プターナ(アナベラの養育者)
 高橋洋:バーゲット(ドナードの甥) 月影瞳:フィロティス(リチャーデッドの姪)
 戸井田稔:ポジオ(バーゲットの従者) 妹尾正文:枢機卿(ローマ教皇使節)
 鍛治直人:グリマルディ(ローマ紳士) たかお鷹:リチャーデッド(偽医師)
 中丸新将:フローリオ(パルマ市民) 有川博:ドナード(パルマ市民)
 瑳川哲朗:ボナヴェンチュラ(修道士)


救いのない話ですが、舞台装置はやっぱりスキですねー。蜷川さんのは。
紗幕の代わりに赤いロープがすだれのように張られています。
おいらはコレを見たとたん、“あ~血の雨・血の涙だ…”と思ったくらいインパクトがありました。
舞台は、半円形のローマ劇場って言うかグローブ座?みたいな2階構造。
扉が沢山あります。(その扉の内側には、白いカーテンがあり効果的に流れを生むのです)
客席の方にも、蝋燭(風の電気ですが)が両翼の壁に付けられてました。


さて、物語。
主人公・ジョヴァンニは、聡明で“パルマの奇跡”とも称えられるほどの青年。
が、しかしある時、実の妹で美貌を謳われたアナベラを愛していることに気付き、深く思い悩む。
師であり修道僧であるボナヴェンチュラは彼を諭そうとするが、燃え上がってしまった炎は消せるはずもなく、妹に愛を打ち明ける。
その美しい妹アナベラも、実は兄ジョヴァンニを愛していたと告白し、そこから悲劇へとひた走る…

ま、こんな感じの出だしですが。
ジョヴァンニ・三上は、テンションが高いですね。押さえた雰囲気ではあるんですが、どこか逝っちゃった感じが醸しだされていて。
アナベラを追う視線にアチチ!でした。
登場のシーンからして、不思議な雰囲気でしたよ。
白馬にもたれて(というか、のけぞってましたけど)ゴロゴロ…あえて深読みさせてもらうと、白馬=ユニコーンか?とも。純粋・清純の象徴なのか?ってね。
あと、つまんない事ですけどジョヴァンニが学んだのはボローニャ大学かなぁ?ボローニャっていうとなんか「ハム」を思い出してた、そんな劇中雑念たっぷりなおいらでした。
(あ、パルマもハムとチーズが名産だ!)
で、結局師匠の制止も振り切ってジョヴァンニとアナベラはお互いの気持ちを確かめ合い、養育者(要は乳母か)のプターナの援護もあり肉体的にも結ばれました。
(幸せだけど、実はコレは第一の悲劇ですね。)

だけど、そんな幸せは長く続くはずはなく。
求婚者が門前市をなす位の美貌を謳われた娘、しかも適齢期(であろう)。そんなアナベラには強力な求婚者・ソランゾが居るわけですよ。
ソランゾ・谷原。貴族のお坊ちゃまで、ちょっと鼻につくタイプなやつ。一通りなんでも出来ちゃうような感じのやつとみた。そんなもんだから、あちこちで浮名を流していて後を引きずってる女(ヒポリタ)も居る。
そのヒポリタは、何とかしてソランゾに復讐をしてやろうと考えていて、悲劇の一因はソランゾ自身にもあったってわけですよ。(寝取られ男は哀れなだけで)

悲劇はジョヴァンニ・アナベラを芯として、ソランゾ→アナベラ、ソランゾ→ジョヴァンニ、ヒポリタ→ソランゾ、グリマルディ→ソランゾと大小の恨みが絡み合って大きくなってしまったんですね。

ジョヴァンニと相思相愛となったアナベラ、ことごとく求婚者を退けようとしたけれど、あろうことか妊娠していることがわかり、「父親」が必要となりソランゾを必要とし結婚せざるを得なくなってしまった。
コレが第二の悲劇。
ジョヴァンニの師である修道士は、(妊娠がわかって)悔い改めたように見えたアナベラがまっとうな夫婦生活を選んだと思ってたのか、そこの所が聴き取れなかったアフォなおいらでしたが。
アナベラとソランゾは結婚し、夫婦となりました。
ソランゾは美貌のアナベラを勝ち得たことに満足でしたが、ジョヴァンニの心の中は穏やかには程遠く嵐の予感。

しかもソランゾと、かつてその男に辱められた女・ヒポリタの妄執が激突!
ソランゾ(と、アナベラ)に復讐を果たそうと、結婚披露宴に乗り込むとは!
かわいさ余って憎さ百倍という言葉は、まさにこの場に相応しい物かと思われます。
立ち会わされた人たちは、余りにもかわいそうですよ…(/ー ̄;)シクシク
あわれヒポリタの野望はヴァスケスの計略により未遂。ヒポリタは自分で盛った毒で死亡。
見た目一件落着のようですが…

その内、アナベラの妊娠がソランゾにバレてしまい、当然のように腹の子の父親は誰かと詰め寄られ、折檻されますが一向に喋ろうとしない彼女。
余計に怒りを募らせるソランゾ。
…怖いです。世の中は自分を中心に廻っていると考えている節のあるソランゾにとって、“寝取る”ことはあっても“寝取られる“ことは考えていなかったはず。
だから余計にアナベラを、アナベラの子供を、アナベラの男を憎く思うのでしょうね。
そこを忠実な召使ヴァスケスが探り出し、悲劇のゴールへまっしぐら!

そんなソランゾのあおりを食ったのが、ちょいとおつむの弱いバーゲット。
そのバーゲットの高橋洋ちゃん。
こけます。こけまくりです。そして踊ります!
見た目一瞬、ずるむけJr.@メタマクか?とも思えるような雰囲気。
エリザベスカラーにネクタイ姿というありえない扮装だし。
その上、チュチュを着けて白鳥するし。(隣でアクロバット白鳥の湖が始まったから?)
そして、赤いロープにマジで顔をぶつけたらしく、素で痛がってました。
バーゲットは暗くドロドロした愛憎劇の中にあって、一筋の光明!(言い過ぎ?)和みます。
お馬鹿なんだけど、純粋で一途。一途に突っ走ってるかな~なんて思うと、お馬鹿ちゃんを発揮して軌道修正。
最初、アナベラに求婚してたけど(伯父のドナードに言い包められていたらしい)あっさりフィロティスに鞍替え。
無い知恵絞って、伯父さんに反対される前に結婚しちゃえ!とばかりに夜中に教会(?)に出向いたら、ソランゾを待ち構えていたグリマルディに勘違いされて殺されちゃいました。
~~~~~((((((ノ゜⊿゜)ノあぁ…コレもひとつの悲劇です。殺され損なバーゲット。
ちなみに相手のフィロティスは尼僧院行きです…†o(・・;) アーメン。


アナベラの腹の子の父親がジョヴァンニだと判ると、彼への復讐計画を立て、自分の誕生祝いのパーティを開きます。
否が応でも“妻の兄”として出席しなくてはいけない訳ですよ。そこで一気に暗殺してしまおうという計画で…(うわっ、腹黒っ!)

ジョヴァンニは何とかしてアナベラに会おうと嫌々ながらもパーティへ。
が、アナベラはその場に居らず。(虐待されて部屋に軟禁状態)
ソランゾの策略どおりにアナベラの部屋へ行くジョヴァンニ。

もう、この時点では既にジョヴァンニは二人が幸せになれるのはこの世の他であると事を考えていたんでしょうね。
アナベラを刺し殺してしまいましたよ。
手に手を取って逃げようとか、そんな事は考えられなかったんでしょうか。
「パルマの奇跡」とまで称された知恵の持ち主なら、生き恥掻こうとも生き永らえようとは考えなかったんだろうか。
そして、アナベラも抵抗もせず受け入れてしまうとは…
その自体の風潮というか、そういうのなのでしょうけど。
例え命汚いと言われても、生きていれば…っては思えないんかな~「(´へ`;ウーム

さて。
悲劇の仕上げはこれからでした。ここで終わらなかったんです。
アナベラを刺し殺した血塗られた剣をかざし、ジョヴァンニはソランゾのパーティに乱入。
血に染まった剣、そしてアナベラの心臓。兄と妹の所業を知った父親は、怒りの挙句に発作を起こし死亡。
さらにジョヴァンニは狂ったかのうように、イヤ既に狂ってしまっていたんでしょうが、剣を振り回し出席者をも殺しまくり、ソランゾと相討ちになり、ヴァスケスの剣によって倒れました。
哀れ、ソランゾの屋敷は血にまみれることとなり…

舞台は枢機卿猊下の「あわれ、彼女は娼婦」の言葉で幕となりました。

どーも未だ持ってわからないのが、なぜ枢機卿猊下がアナベラのことを「娼婦」と呼ばわったのかってこと。
ま、確かにキリスト教徒としての(そうじゃなくても)タブーを犯したことは間違いないけど。
ソランゾにも“売女””淫売”呼ばわりされたけど。

あと考えちゃったのは、この一連の出来事で一番得をしたいい目を見たのは誰だったんだ、とね。
やっぱりドナードか。それとも自由の身になったであろうヴァスケスか。
どっちにしろ暗い話でした。

だらだら書いたらこんなに長くなってしまいました。最後までお付き合い下さった方、感謝ですm(__)m



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この記事へのコメント

2006年08月04日 00:25
くまのすけさん、お久です。
『あわれ・・・』観てみたかった~でも、チケットが~しくしく。
細やかなレポ、読ませていただいて、内容が観たかのようによ~~~~く、わかりました(笑)
>救いのない話・・・「死んでも花も実もならないよ」な話だったんですね。
ん~、三上さんは普通にしてても、どこかイっちゃてるイメージがありますよね・・・こわっ!
2006年08月04日 10:18
救い、無かったですよねぇ…。
私も最後の枢機卿猊下が言い放った“娼婦”という言葉の選び方が、どうにも引っかかり、辞書を引いちゃいました。
自分で勝手に思い込んでいて意味を取り違えてるって、私はカナリあるもので。
(^^;

装置は、本当に美しかった。
照明の使い方も!
人間社会で起きるドロドロと、隔絶されたかのような佇まいで、その冷たさというか凛とした感じが美しかったです。

感想アップしてたので、トラバしました。
が、上手くいってない気も…。
(><)(^^;
2006年08月04日 23:37
くまのすけさん、長文のレポ本当にお疲れ様でした!!もぅ一気に読破させてもらいました☆
読んでいて暗い…救いのないお話の展開でビックリしたんですが、逆に舞台でのキャラが際立って面白そうだなぁっと思いました(*^_^*)役者さんも本当に豪華ですしね☆もれなく激戦からもれた私ですがレポ読めてよかったです!!
私的に高橋さんが気になってしょうがありません(笑)
2006年08月04日 23:41
>秋生さん
ども!お久しぶりです(*^^)
この作品は「マクベス」とまた違った人死がでる芝居で重かったですぅ。
確かコレもTVが入ってたはずなので、いずれwowowあたりで観られると思いますよ♪
三上さん…コレをやってる最中にジュースのCMを見ちゃって、ギャップ感じちゃいました。

>midoriさん
ほ~ぉんと、救いがなかったと思います。
だから余計に舞台装置が際立って見えたんでしょうか?
そしてバーゲットの純なおばかさも。
あ、TBは無事来てましたんで公開させていただきました!
2006年08月04日 23:57
>ヌヌさん
シェイクスピアと同時代の作者だそうですが、シェイクスピア以上に屈託のある人だったようで、マジ暗い話でしたよ。
洋ちゃん、ホンとに可愛くって♪余計哀しかったですが。TV放映されたらチェックしてね♪
2006年08月05日 00:33
きまのすけ様 さすがです。
ジョバンニとアナベラの情念の絡み合いは理解出来ても、惨殺までの流れが読めない(T_T)
娼婦よばわりも自分には謎のまま!
凄惨な終わりの舞台なのですが、後味は悪くない感じ 蜷川マジックと言うべきでしょうか?
TBさせていただきますね。
2006年08月05日 00:49
>hattiさん
凄惨なラスト、血みどろ…
「(´へ`;ウーム後味は悪くないかもだけど、一回では消化し切れなかったです。
でも、キャストは光っていて良かったですね。
TBありがとうございました。お返ししておきました!
2006年08月14日 01:14
こんばんは。書き込みさせていただくのはたぶん初めてだと思うんですが、秋生さんつながりで時々拝見させていただいてました。

「娼婦」という言葉ですが、当時のイタリアでは夫以外の男と密通した女性を「娼婦」と呼んでいたのだそうです。「あわれ・・・」関連のなにかの記事で読みました。
私も高橋洋さんのバーゲットがインパクトNo.1でした。
・・・ていうか、あまりの化けっぷりにカーテンコールまで洋さんだと分からなかった。
蜷川さん舞台は好きですが、ここまで流血陰惨なのはちょっと・・・でした。
2006年08月16日 15:08
>Aoiroさん
亀レスすみません。
>当時のイタリアでは夫以外の男と密通した女性
あ゛~っ!パンフにあったんですねぇ!隅から隅まで読んでないのバレバレ(; ̄ー ̄A アセアセ
教えて下さってありがとうございます。
貞操というか貞節を失うと「娼婦」なのですね~
それにしてもやはり高橋洋ちゃんのバーゲットは
暗い物語の中の一筋の光でしたね!かわいかったなぁ…お馬鹿だったけど。

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    Excerpt: シェイクスピアと同時代に生きた作家、ジョン・フォード。すみません!全然、知りませんでした!!(爆)個人的に、あまりに色々な気持ちが渦巻いてしまって、いつものように感想をまとめるというレベルに至れません.. Weblog: 好きなことは止められない♪ racked: 2006-08-04 10:13
  • 『あわれ 彼女は娼婦』7.28ソワレ

    Excerpt: お仕事終わって・・・ 今日も、劇場めざし まっしぐら! Bunnkamuraシアターコクーンへ 2FのA列を確保していたので、 見えにくい事はなかろうと思ってたんですが、 甘かった(爆).. Weblog: hatti 元気の素 観劇 ミュージカル racked: 2006-08-05 00:34